ケアの特長

“Smart Facial Care” は、顔に関わる3つの機能美を実現するためのケア手法です。単に歯並びをよくする矯正治療としてではなく、最も重要な体の一部である口の周辺(口腔、顎や歯)の形状も含めて最良の状態に導くためのケアです。

  • 骨に働きかけ、美しく機能的な 顔の形を得る
  • 広い鼻呼吸の通り道を得ることで、スムースな呼吸になり体全体の健康を促進する
  • 美しい歯並びを得る

私たちは、この3つの機能美を苦痛や無理のない方法で実現するために、“Smart Facial Care” を推進しています。Smart Facial Care では歯並びには問題の無い方でも気道をより広くするなどにより健康増進の効果が期待でき、純粋に口周りの顔形を外科的手術などしないでより美しく変えることも可能です。

他の矯正手法との違い

Smart Facial Careでは「歯並びだけを治す」という従来の矯正治療ではなく、顔形のバランス、良好な呼吸まで考えたケアに取り組みます。一般的に日本では、口周りの骨の形状修正や気道の確保などを目的に行う矯正は無いといっても過言ではないと思います。抜歯や歯を削ったり、歯に固定具を付けて無理やり歯の位置を変える矯正や、成長期のお子さんに対して行われる床矯正と呼ばれる固定しない器具を使う矯正も在りますが、いずれも骨の形を変えるためのものではありません。症例や下の解説を見てくださった方はお分かりと思いますが、歯の位置だけを治したのでは本質的な解決にならないのです。まず骨の形状を正してから歯に対する治療を行うべきなのです。そこが本質的に異なっています。

不適正になってしまった顎(骨)の形をまず整えてから、さらに歯並びも整えるのが『Smart Facial Care』の基本的な考え方です。そしてそれはお子さんばかりではなく成人に対しても十分効果が有ることが実証されています。症例のページもご覧ください。

口腔内の力の作用イメージ

顎の力、歯の力、舌が押す力、
健康な口の中では、それぞれの力が作用して絶妙なバランスが保たれ、それによって顎の骨の形も適切に保たれた状態にあります。なかなか一般には想像しがたいのですが、舌が歯を押す力で骨の形状が大きく変わるのです。弱い力でも継続すると影響が大きいという事なのでしょう。しかし、成長期にあるお子様の口の中ではこのバランスがまだ形成されていない状態にあり、どこかの力に偏りがある場合、いびつな顎(骨)の形が形成されてしまう可能性があるのです。

好ましくない口腔内の力のバランスの例

舌は本来、上顎に付いているのが望ましい状態ですが、口呼吸が癖になっているお子様は呼吸の苦しさを回避するために、上図のように舌が常に低い位置にあって、下顎や下の歯を押している状態になっており、アンバランスに下顎が発達してしまいます。この状態が改善されなければ、当然のことながら、顎の形や位置、歯並びに悪い影響を及ぼします。

この例とは逆で、上顎が舌で押されて発達し過ぎてしまい、下顎が奥まってしまう例もあります。

成人になってからでも対応可能

この様な事が起きた場合、お子さんの時にケアした方がより効果的ではありますが、成人になってからでも十分効果が有ることは実証されています。実際、シニアの方が Smart Facial Care を行って素晴らしい効果を上げています。

好ましくない矯正器具のイメージ(スクリューの力で顎幅を拡張する)

上図は一般的な矯正治療で利用される矯正器具の一例です。左右の連結部分にあるスクリューの力で顎の幅を拡張します。その他にもワイヤーで歯を物理的に引っ張り歯列を矯正するものなど、様々な矯正器具があります。これらの問題点は直接的に歯の位置を矯正しようとすることであり、本質的な顎の骨の大きさや位置を正してはくれないことです。

このような器具は部分的な状態の改善には役立ちます。しかし、そもそも歯並びやかみ合わせ等の問題は、局部だけに発生しているものではなく舌、歯、かむ力などの力のバランスが崩れてしまった結果、骨の形が異常になっていることに根本原因があります。これを改善しなければ根本的な治療とは言えません。

この器具以外にも、直接的に歯に力を加えてその位置を矯正しようとする器具(金属製、樹脂製に関わらず)が多く存在します。それがいかに間違った概念で製作されたものであるかご理解の上、どうぞご注意ください。

セファロ計測の仕方

まず一番重要な骨の大きさの計測の仕方です。これによりケアの方針が決定されます。

  • まず、今の顔のバランスを調べます。
  • それには真横から撮影した特別なレントゲン(セファロ)が必要です。必ず撮る必要があります。
  • 次の図はセファロレントゲンで調べる項目です。
  • これは恩師Bimler博士が50年前に開発した分析法です。
    • 顔の骨の大きさ・その位置関係がわかります。
    • 歯の計測はしません。まずは骨を良くするために調べます。
    • 上あご・下あごの大きさと位置関係が数値化されています。
    • この数値を活用して診断します。
    • 初めから顔のバランスに重点が置かれています。

Smart Facial Care の FA(Functional Appliance)の例

Smart Facial CareにはこのようなFAを個々人の口に合わせて制作し用います。口のどこかに固定するものではなく、マウスピースのように緩くくわえて使用します。その目的は、断続的な刺激を骨に与える事でどこをどう改善すべきかを骨に知らせるためのものであり、直接的に歯に力を加えて位置などを矯正するためのものではありません。

したがって、装着のために抜歯をしたり、切開を伴うような手術は一切必要ありませんし、装着するのは夜間と昼間数時間でOKですので、人と会う時などは外しておいてかまいません。

装着イメージ

上図のように装着します。噛む込む力を利用し骨に刺激を与える事で、かみ合わせの改善、顎の成長の促進、舌の位置の改善等を同時に行うことができます。

Smart Facial Care のケア例①

Hさんは中学生、一生懸命歯をみがいているけど、重なり合っているところが多くてきれいにするのが大変。矯正治療はしたいけど、歯を抜きたくない、と思って悩んでいました。

  • ケア開始

先ずは一番目のFAを用いて、顎全体の成長を促し、歯が収まるスペースを広げていきます。
なお、FAを用いるのは毎日寝ている間と、日中の3時間程度となります。

  • 一年後

一年後、顎が広がり、歯と歯の重なりがだいぶ取れ、すき間ができてきました。その次にそのすき間を利用し、固定式ツールを使って歯が生える位置を微調整します。それはなるべく短期間に行います。

  • 二年後

治療が完了した状態です。2年間の成果は一目瞭然です。
時間はそれなりにかかりますが、歯が生えるスペースの有る顎に変化させ、抜歯など外科的処置をせずにケア出来ることは大きなメリットです。

Smart Facial Care のケア例②  呼吸と歯並びの緊密な関係

こちらの患者さんは口蓋扁桃腺が大きく腫れてしまっています。こうしたケースの場合、空気の通り道が狭くなっているために、鼻呼吸では苦しく自然と口呼吸が習慣となってしまいます。

この患者さんのレントゲン写真です。圧迫されて気道が狭くなっているのがよく分かります。口呼吸が癖になると舌の位置が正常ではなくなり歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼすという悪循環に陥ります。

  • ケア開始

一般的な歯列矯正で歯並びを矯正したとしても、息をするのが苦しく舌の位置が不正なままでは口の中の力のバランスが崩れた状態が続いてしまい、理想的な成長に導くことはできません。

このようなケースにおいて、Smart Facial Care が力を発揮します顎の発達を促し、歯のはえるスペースを増やしながら、空気の通り道も広げることができる様にFAを使って治療しました。

これもツールを用いるのは毎日寝ている間と、日中の3時間程度となります。

治療経過のレントゲンです。左から右に順番に歯の生える場所も確保でき、気道がだんだんと広がっていることが分かります。前述したように、口呼吸から鼻呼吸への改善は、舌の不用意な動きを妨げて歯並びの後戻りを少なくするために重要です。

さらに重要なのは、鼻呼吸が習慣になることのメリットです。正しい呼吸が身に付くことで、『心臓への負担が軽減される』『脳への酸素供給が楽になる』『睡眠の質が改善される』など、将来にわたって多大なメリットを得ることができます。

  • ケア完了

きれいな歯並びになりました。後戻りはなく、安定しています。

しっかりと口を閉じることが出来ています。
上下のあごがバランスよく発達して立派な顔立ちになりました。

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